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「糖尿病は一生治らない」は過去の話? 減量で目指す「寛解」と将来の合併症予防

「糖尿病は一生治らない」は過去の話? 減量で目指す「寛解」と将来の合併症予防

「健康診断で糖尿病と言われてしまった…」「血糖値の薬は一度飲み始めたら一生やめられないのだろうか…」
糖尿病の診療を行っていると、このような切実な不安やご相談を数多くいただきます。

かつて、2型糖尿病は「一生付き合い続け、悪化を防ぐことしかできない不可逆的な病気」と考えられていました。しかし近年、国際的な糖尿病診療の現場では常識が大きく覆りつつあります。

「適切なアプローチでしっかりとした減量を達成できれば、糖尿病を『寛解』に導くことができる」――これが、近年の臨床研究で明らかになってきた新事実です。

今回は、なぜ肥満が糖尿病を引き起こすのかという根本的なメカニズムから、国内外で報告されている「減量による糖尿病寛解のエビデンス」、そして当院が八女市黒木町で行っている減量・糖尿病治療へのこだわりについて解説します。

1. 肥満が2型糖尿病を引き起こす「2つの連鎖」

食事から摂取した糖分は、血液中に入って「血糖」となります。通常であれば、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによって、ブドウ糖は肝臓や筋肉などの細胞に取り込まれ、エネルギーとして使われます。

しかし、体重増加・肥満が進行すると、この精密なシステムが以下の2つのステップで崩壊していきます。

① インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」

特に注意が必要なのが「内臓脂肪」の蓄積です。脂肪細胞は単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、様々な生理活性物質(アディポカイン)を分泌する内分泌器官のような働きをしています。
内臓脂肪が増えすぎると、インスリンの働きを邪魔する悪玉物質(TNF-αや遊離脂肪酸など)が大量に放出され、逆にインスリンの効き目を高めてくれる善玉物質(アディポネクチン)が減少します。

その結果、すい臓がいくらインスリンを出しても筋肉や肝臓に糖が取り込まれなくなります。これを「インスリン抵抗性」と呼びます。

② すい臓や肝臓に脂が溜まる「異所性脂肪(脂肪毒性)」

インスリンの効きが悪くなると、体は血糖値を下げようとしてすい臓に無理をさせ、インスリンを大量に出し続けさせます(高インスリン血症)。
さらに過剰な脂肪は、本来脂肪がつかないはずの臓器――「肝臓」や「すい臓自体」にしみ出していきます。これを異所性脂肪(脂肪肝・脂肪すい)と呼びます。

すい臓のインスリン分泌細胞(β細胞)に脂肪が蓄積すると、脂肪毒性によって細胞が麻痺し、疲弊してインスリンを分泌する力そのものが失われていきます。

【まとめ】
「インスリンの効きが悪くなる」×「すい臓が疲弊してインスリンが出せなくなる」のダブルパンチが揃ったとき、血液中に糖があふれ出し、2型糖尿病が発症します。

2. 「減量で糖尿病が治る?」世界で報告される糖尿病の寛解

長年、「一度低下したすい臓の機能は元に戻らない」とされてきました。しかし、近年の研究により、「肝臓やすい臓に溜まった脂肪を取り除いてあげれば、休眠していたすい臓のβ細胞は息を吹き返す」ことが分かってきました。

「DiRECT試験」

イギリスで行われた画期的な臨床試験(DiRECT試験)では、診断から6年以内の2型糖尿病患者さんを対象に集中的な体重管理プログラムを実施しました。その結果は驚くべきものでした。

減量できた体重 1年後に薬なしで正常血糖を維持できた割合(寛解率)
15kg以上の減量 86% (ほぼ9割が寛解)
10〜15kgの減量 57%
5〜10kgの減量 34%

つまり、大幅な減量によって肝臓・すい臓の異所性脂肪が消失すると、薬を一切使わずに血糖値が正常範囲内に落ち着く「寛解」に達する人が多数存在することが医学的に実証されたのです。

3. どのような人が「寛解」を期待しやすいのか?

減量による寛解はすべての方に等しく起こるわけではありません。研究データや臨床経験から、以下のような条件に当てはまる方ほど寛解に到達しやすいことが分かっています。

  • 糖尿病と診断されてからの期間が短い(目安:5〜6年以内)
    年数が浅いほど、すい臓の細胞が完全に死滅しておらず「休眠しているだけ」の状態である可能性が高いためです。
  • 肥満度が高い
    もともと体重がある方ほど、減量によるインスリン抵抗性の改善余地が大きくなります。
  • すい臓のインスリン分泌能が残っている
    採血検査(Cペプチドなど)ですい臓の体力を確認し、まだ自力で出す力がある方。
  • 体重の10〜15%以上の減量を達成し、維持できる

「もう何年も治療しているから無理だろうか」と思われるかもしれませんが、寛解に至らなくても、5%の減量を達成するだけで薬の種類を減らしたり、将来の心筋梗塞や腎不全のリスクを大幅に下げたりすることができます。

4. 当院の減量外来が目指すもの

一般的な糖尿病治療では、「上がった数値を下げるために薬を足していく」という対症療法的なアプローチになりがちです。しかし、根本にある体重や生活習慣が変わらなければ、年々薬の量が増えていくことになりかねません。

八女市黒木町の冨田医院では、患者さんの将来を見据え、一歩踏み込んだ減量・糖尿病治療を行っています。

当院の診療における3つの柱

① GLP-1受容体作動薬などを活用した科学的アプローチ

「痩せられないのは意志が弱いから」ではありません。食欲や代謝は脳とホルモンによってコントロールされています。当院では医学的な根拠に基づき、食欲中枢に働きかけて自然に食事量を抑えるGLP-1受容体作動薬などを適切に組み合わせ、無理のない体重減少をサポートします。

② 一時的なダイエットで終わらせない「生活習慣の変容」

薬で体重を落とした後、最も重要なのはリバウンドを防ぐことです。患者さん一人ひとりの生活リズムや食習慣に寄り添い、無理なく一生続けられる食事・運動の工夫を一緒に見つけていきます。

③ 若い世代の「徹底的な血糖コントロール」と「将来の合併症予防」

20代〜50代など比較的若い世代で糖尿病を発症した場合、罹病期間が30年、40年と長くなるため、失明(網膜症)、人工透析(腎症)、足切断(神経障害)、心筋梗塞や脳卒中といった恐ろしい合併症のリスクが格段に高まります。
寛解を目指せる方は積極的に薬の離脱を狙い、寛解が難しい病態であっても、早期から厳密に血糖・体重をコントロールして「20年後、30年後も健康で元気に過ごせる身体」を守り抜くことを最優先の目標にしています。

5. 患者さんの健やかな人生を支えるために

減量は、見た目を変えるためだけのものではありません。
身体の内側にあるすい臓や肝臓の負担を取り除き、血管を守り、健康寿命を延ばすための「最も効果的な医療介入」です。

「健診で再検査と言われたけれど、どこに相談すればいいか分からない」
「糖尿病の薬を飲んでいるが、体重が増えてしまって困っている」
「将来の合併症が不安で、根本的に体質を改善したい」

そのようなお悩みを抱えている方は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。

『冨田医院 減量外来専用ホームページ』

冨田医院 医師 岡田 一樹

医療法人 尚恵会 冨田医院

医院名
医療法人 尚恵会 冨田医院
所在地
〒834-1217
福岡県八女市黒木町黒木87-1
電話番号
0943-42-0173
駐車場
有り