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ダイエット、減量の成功を引き寄せる「やり抜く力(GRIT)」とは?

ダイエットに挑戦したものの、途中で挫折してしまった経験をお持ちの方は少なくありません。「自分には意志の強さという才能がないのではないか」「やっぱり私には無理だったんだ」と、ご自身を責めてしまう声を診察室でもよく伺います。
ですが、近年の心理学研究によって、目標達成において最も重要なのは「生まれ持った才能」ではないことが明らかになってきました。
今回は、ペンシルベニア大学の心理学者アンジェラ・ダックワース教授が提唱し、世界中で注目を集める概念「GRIT(グリット:やり抜く力)」をご紹介します。減量を成功させ、さらにその後の人生を豊かにしていくための思考のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
才能よりも重要な「GRIT(やり抜く力)」とは?
ダックワース教授らの研究では、ビジネス、スポーツ、学問など人生におけるあらゆる分野での成功者たちを調査しました。その結果、一見関係なさそうに見える数々の分野において共通していた成功の決定打は、知能指数(IQ)や才能ではなく、「GRIT(やり抜く力)」だったのです。
GRITは、大きく分けて次の2つの要素から成り立っています。
- 情熱(Passion):一時的な熱狂ではなく、特定の目標に対して長期間にわたり高い関心を持ち続けること(一つのことに取り組み続ける能力)。
- 粘り強さ(Perseverance):挫折や失敗、困難に直面しても諦めず、努力を継続すること。
特に減量において重要になってくるのが、この「情熱」の部分です。一時の流行に乗って短期間だけ猛烈な制限をするのではなく、「身体や行動を変えていくプロセス」そのものに長期間関心を持ち続ける姿勢こそが、目標達成への架け橋となります。
「やり抜く力」は、後から伸ばすことができる
よく「コツコツ努力できること自体が生まれつきの才能だ」という言説を耳にすることがあります。しかし、研究によって明確に示されているのは、やり抜く力(GRIT)は遺伝だけでなく、意識や環境によって後からでも成長させることができるという事実です。
では、減量生活を通してGRITを伸ばしていくためには、具体的にどのようなポイントを意識すればよいのでしょうか。大きく3つのアプローチがあります。
1. 「努力と報酬」の関連を脳に学習させる
人間は、「自分の行動(努力)によって良い結果(報酬)が得られた」という体験を通して、努力することの価値を学びます。
減量において、小さな工夫や行動の変化によって「体重がほんの少し減った」「朝すっきり起きられるようになった」という成功体験を重ねることは、脳に「努力と報酬のつながり」を教え込む最高の機会になります。「正しく努力すれば変化が生まれる」という実感が、次の粘り強さを生み出します。
2. 明確な「目的(何のために痩せるのか)」を見出す
GRITが高い人たちの大きな特徴として、「自分の行動に意味や目的を見出している」という点が挙げられます。
特に心理学的なデータでは、「自分自身のため」だけでなく「他者のため」という要素が含まれているとき、人は最も強いやり抜く力を発揮することが分かってます。「もっと健康になって家族を安心させたい」「大切な人と長く元気に過ごしたい」といった他者への想いは、挫折しそうな時の強力な支えになります。
また、何かしらの明確な目的を持って減量に成功した他者のエピソードからインスピレーションをもらうのも効果的です。「あの人も自分と同じ悩みを抱えていたけれど、ご家族のために乗り越えたんだ」というロールモデルを見つけることが、大きな原動力になります。
3. 「希望」を持つ(成長思考 vs 固定思考)
途中で体調を崩したり、体重が落ちない「停滞期」が来たりするのは自然なことです。そうした困難に直面した時にGRITの支えとなるのが、「成長思考」に基づいた希望の姿勢です。
心理学では、人の思考パターンは大きく「固定思考」と「成長思考」の2つに分けられるとされています。
- 固定思考(フィックスド・マインドセット):「能力や痩せやすさは生まれつき決まっており、変えられない」という考え方。体重が減らないと「自分には才能がないんだ」と捉え、すぐに諦めてしまいます。
- 成長思考(グロース・マインドセット):「能力や習慣は、努力や工夫次第で伸ばしていくことができる」という考え方。停滞期や失敗に直面しても「やり方を見直すチャンスだ」と捉え、学びの機会に変えていきます。
GRITを高めるためには、この「成長思考」に加えて、「今はうまくいかなくても試行錯誤を続ければ必ず乗り越えられる」という「楽観主義」を掛け合わせることが大切です。「努力で自分を変えられる(成長思考)」という信念を持ち、「明日はもっと良くできる(楽観主義)」と思える心のしなやかさこそが、諦めずに立ち上がる本当の力になります。
減量を通して身につけたGRITは、人生全体の財産になる
なお、当院の減量外来で「GRITトレーニング」のような特定の心理プログラムを直接取り入れているわけではありません。しかし、患者さんがご自身の生活と向き合う上での「考え方の参考」として、この概念は非常に有益であると考えています。
減量は、ただ体重計の数字を減らすだけの作業ではありません。自分自身の感情や行動パターンと向き合い、試行錯誤しながら習慣を変えていくひとつの「挑戦」です。
この取り組みのプロセスで培われた「やり抜く力(GRIT)」は、減量が終わった後もあなたの中に残り続けます。そして仕事、人間関係、新しい学びなど、あなたの人生における他のさまざまな局面で直面する困難を乗り越えるための、一生モノの財産となっていくはずです。
当院は八女市黒木町で診療しております。
「これまで何度も諦めてしまった」「一人ではどうやって粘り強く取り組めばいいか分からない」という方も、焦る必要はありません。あなたの生活習慣やペースに合わせながら、一緒に歩んでいきましょう。お悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
冨田医院 医師 岡田一樹