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肥満治療薬(マンジャロ、リベルサス)が効きやすい人。効きにくい人。

肥満治療薬(マンジャロ、リベルサス)が効きやすい人。効きにくい人。

当院の減量外来でも非常に高い減量効果を発揮している肥満治療薬「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」やGLP-1受容体作動薬(オゼンピック、リベルサスなど)は体重減少が期待できる先進的な薬として注目を集めています。

しかし、実際の診療現場や最新の臨床研究(2025〜2026年の世界的な大規模データなど)では、「15%〜20%もみるみる体重が落ちる人(ハイパーレスポンダー)」がいる一方で、「お薬を増やしてもなかなか減らない人(ノンレスポンダー)」がいるという、無視できない【大きな個人差】が存在します。

私の経験上でも、糖尿病の方で全く体重が減らない人も中にいますが、臨床研究をみると、確かにこういう人が効きにくいと実感することも多いため、以下に研究でどういう人が効きやすいかを説明します。


マンジャロが「驚くほど効きやすい人」とその理由

マンジャロの効果が最大限に発揮され、スムーズに健康的な減量ができる人の特徴と、その医学的メカニズムです。

① 女性であること

【理由】近年のリアルワールドデータ(実臨床の追跡調査)では、女性の方が男性よりも肥満治療薬に対する減量反応が約1.9倍高いことが報告されています。女性は男性に比べて、マンジャロの主作用である「胃排泄の遅延(胃の中に食べ物を長く留め、満腹感を持続させる作用)」や、脳の満腹中枢へのシグナルをより敏感に感知しやすい体質的・ホルモン的背景があるためと考えられています。

② 年齢が若い(代謝が高い)こと

【理由】最新のメタアナリシス(複数の臨床試験の統合解析)において、年齢は減量効率を左右する極めて大きな因子とされています。若い方は元々の基礎代謝量(何もしなくても消費されるカロリー)が高いため、マンジャロによって過剰な食欲が抑えられ摂取カロリーが減ると、”消費カロリー > 摂取カロリー”の差が非常に大きくなり、結果として脂肪がドラマチックに燃焼していきます。

③ 糖尿病がない、または患って日が浅いこと

【理由】糖尿病を合併していない、あるいは発症して間もない方は、インスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)がそこまで深刻化していません。マンジャロのもう一つの強みである「インスリン感受性の改善(糖や脂肪をエネルギーとして効率よく使う能力の回復)」がストレートに働くため、身体の代謝スイッチが切り替わりやすく、体重減少のスタートダッシュがききやすいのです。

④ 生まれつき「お薬の受け皿(受容体)」の遺伝子相性が良いこと

【理由】2026年、遺伝子と肥満治療薬の効果に関する最先端のゲノム解析研究において、GLP-1やGIPの受容体遺伝子に特定のパターン(バリアント)を持つ人は、持っていない人に比べて明らかに減量幅が大きいことが証明されました。つまり、「お薬が細胞に鍵と鍵穴のようにはまりやすい体質」が生まれつき存在し、これがハイパーレスポンダー(劇的に痩せる人)を生み出す根本原因の一つとなっています。

⑤ ストレス過食やニオイにつられる「食行動の異常」があること

【理由】実は、お腹が空いていないのにストレスやイライラで食べてしまう「情動摂食」や、食べ物の匂いやテレビCMにつられて食べてしまう「外因性摂食」といった癖がある人ほど、このタイプのお薬は劇的に効きやすいことが分かっています。マンジャロは脳の摂食中枢に強力に働きかけ、これらの「認知的な食欲の暴走」を直接シャットアウトするため、心理的な過食癖が根本から是正され、結果として高い減量効果が生まれます。


マンジャロが「効きにくい(効果がマイルドな)人」とその理由

期待したほど体重が減らない、あるいは減り方が緩やかなノンレスポンダーと呼ばれる方々の特徴と、その裏にある身体のメカニズムです。

① ご高齢の方(筋肉量や基礎代謝の低下)

高齢になると、加齢に伴い「骨格筋(筋肉)」が減少するサルコペニアの傾向が強まり、基礎代謝が低下します。マンジャロによって食欲が落ちて食事量が減ったとしても、「そもそも身体がエネルギーを消費する力(燃焼効率)」自体が落ちているため、若い人に比べるとどうしても体重の減り幅はマイルドになります。

② 長年、重度の2型糖尿病を患っている方

何年もの間、高血糖状態が続いている身体は、代謝システム(糖や脂肪を処理する仕組み)が深く傷ついています。マンジャロを投与した際、身体は最優先事項として「まずは命に関わる血糖値を安定させること(インスリン分泌の適正化)」にお薬のパワーを割きます。そのため、血糖値はきれいに改善するものの、脂肪を燃焼させて「体重を減らす」という次のフェーズに進むまでに、かなりの時間を要するケースが多いのです。

③ 投与初期から「食欲の低下」をまったく実感できない方

マンジャロは脳の視床下部に働きかけて「満腹ですよ」というサインを出します。しかし、生まれつきこのサインをキャッチする受容体の数が少なかったり、機能が弱かったりする遺伝子型の場合、お薬を入れても脳が満腹感を感じてくれません。「投与を始めて数ヶ月経っても、以前と食べる量や脳の欲求(食べたい執着)が変わらない」という場合は、生物学的なノンレスポンダーである可能性を示唆する強い予測因子となります。


【医学データに基づく】マンジャロの反応性 比較まとめ

要因 効果が出やすいタイプ 効果が出にくいタイプ
性別・年齢 ・女性(お薬への反応性が高い)
・若年層(基礎代謝が高く燃焼しやすい)
・男性
・高齢層(筋肉量・代謝の低下)
疾患の背景 ・糖尿病がない
・または罹患期間が短い(インスリン抵抗性が低い)
・重度の2型糖尿病を長年患っている
(お薬のパワーがまず血糖値改善に割かれる)
食行動・遺伝 ・ストレス過食、ニオイで食べる癖がある
・受容体の相性が生まれつき良い(遺伝的優位)
・数ヶ月打っても食欲や食べる癖が変わらない
・お薬のシグナルが脳や胃腸に伝わりにくい体質

本記事の解説の根拠(引用・参考文献)

  • 食行動異常と治療効果に関する研究:
    de Boer SA, et al. The effects of GLP-1 analogues in obese, insulin-using type 2 diabetes in relation to eating behaviour. Int J Clin Pharm. 2016;38(1):144-151.
  • 遺伝的要因(受容体相性)に関する最新研究:
    Su QJ, et al. Genetic predictors of GLP1 receptor agonist weight loss and side effects. Nature. 2026.
  • 実臨床(リアルワールド)での性別による効果差:
    Squire P, et al. Factors associated with weight loss response to GLP-1 analogues for obesity treatment: a retrospective cohort analysis. BMJ Open. 2025;15:e089477.
  • 年齢による減量効率のメタアナリシス:
    Guo H, et al. Comparative efficacy and safety of GLP-1 receptor agonists for weight reduction: A model-based meta-analysis. Obesity Pillars. 2025;13:100162.
  • 2型糖尿病患者における長期予測因子:
    Vozza A, et al. Predictive factors of body weight loss in patients with type 2 diabetes treated with GLP-1 receptor agonists. Frontiers in Endocrinology. 2024 (PMC12507565).

「効きにくいタイプ」に当てはまったら、諦めるべき?

ここまで読んで、「自分は年齢も高めだし、糖尿病もあるからマンジャロは意味がないのかな…」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、決して諦める必要はありません。

大切なのは、マンジャロは「ただ打てば誰でも自動的に痩せる魔法の注射」ではなく、一人ひとりの『肥満の原因』や『代謝のクセ』に合わせて正しく運用すべき治療薬だということです。

当院の減量外来では、マンジャロなどの減量薬はあくまで治療を円滑に進めるための『サポート(補助輪)』として位置づけています。治療のメインは、医学的なアプローチによって生活習慣そのものを根本から変えていくことです。お薬の効果には個人差があるため、十分な効果が得られない場合には中止も検討し、生活習慣の変容を軸に据えた戦略へと切り替えます。一人ひとりの状態に合わせ、最終的にはお薬に頼らずとも健康を維持できる『自立』した状態を目指しております。

当院の薬物療法についてホームページで解説しておりますので、薬物療法についてを参照下さい。

                                 冨田医院 医師 岡田一樹

医療法人 尚恵会 冨田医院

医院名
医療法人 尚恵会 冨田医院
所在地
〒834-1217
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電話番号
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有り