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肥満症の隠れたリスク。当院の減量外来における精密検査(合併症評価)について

こんにちは。八女市黒木町の冨田医院です。
「体重を減らしたい」「健診で引っかかってしまった」とお悩みの方へ。肥満症の治療において大切なのは、単に体重の数字を減らすことだけではありません。肥満に伴うさまざまな合併症を正しく把握し、予防することこそが本当の目的です。
今回は、冨田医院の減量外来で行っている具体的な合併症評価について詳しく解説します。
なぜ肥満症では「精密検査」が必要なのか?
ただ体重が大きいだけの状態を「肥満」と呼びますが、体重に伴って体に様々な健康障害(高血圧、脂質異常症、糖尿病、肝障害、関節痛など)が生じている、あるいはそのリスクが高い状態を「肥満症」という病気として診断します。
人によって合併症の出方は様々であり、同じ脂肪量でも人によっては合併症が出ておらず、そもそも健康のためだけなら痩せる必要性がないこともあるのです。
よって、「肥満症」の治療において最も大切なのは、「体の内側で静かに進行しているダメージ(合併症)」を正確に把握することです。
当院では、主に以下の検査を組み合わせて、お一人おひとりの「全身の健康状態」を数値化・可視化しています。
※肥満により心臓病のリスクが上がることについて解説したブログは下記から参照下さい。
肥満の『蓄積』が心臓病リスクを高める理由
1. 血液検査:見えない全身の代謝バランスをチェック
血液検査は、全身の代謝(糖・脂質・肝臓・腎臓など)の状態を知る基本となる検査です。
- 糖代謝(HbA1c、空腹時血糖など): 隠れ糖尿病やインスリン抵抗性(体のインスリンの効きにくさ)がないか評価します。
- 脂質代謝(コレステロール、中性脂肪): 血液中の脂質バランスを確認し、動脈硬化のリスクを調べます。
- 肝機能(AST、ALT、γ-GTP): 肝臓に負荷がかかっていないか、脂肪肝の炎症(NASH/MASHなど)がないかをチェックします。
- 尿酸値・腎機能(BUN、クレアチニン、eGFR): 代謝異常による腎臓や関節への影響を調べます。
2. 尿検査(尿中蛋白・微量アルブミン評価):腎臓からの「SOS」を見逃さない
肥満は、高血圧や糖尿病を引き起こしやすく、これらは腎臓に大きな負担をかけます。腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には症状が全く出ません。
そこで重要なのが、尿蛋白および微量アルブミン検査です。
健康な状態では、血液中の大切な蛋白質が尿に漏れ出ることはありません。しかし、腎臓のフィルターが痛むと、ごく微量の蛋白が漏れ出し始めます。
【ポイント】
普通の尿検診で「蛋白マイナス」と出ても、精密な「微量アルブミン検査」を行うことで、腎臓が傷つき始めたごく初期の段階(糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症の初期)を発見できます。早めに発見できれば、適切な減量と治療によって腎機能を守ることが可能です。
3. 腹部超音波(エコー)検査:「脂肪肝」の程度と肝硬変リスクを評価
お腹に超音波をあてて、肝臓の状態を画像で直接確認します。
脂肪が肝臓に溜まると、超音波画像で肝臓が白く明るく映り込みます。当院では、超音波検査を用いて以下の項目を確認します。
- 脂肪肝の進行度合(軽度・中等度・高度)
- 肝臓の表面の「なめらかさ」(慢性的な炎症による慢性肝疾患・肝硬変への進行の有無)
- 胆のう、膵臓、腎臓など周囲臓器の合併症チェック
近年、お酒を飲まない方の脂肪肝(MASLD / MASH)から、肝硬変や肝がんへと進行するケースが増加しています。超音波検査は痛みも被ばくもなく、肝臓のSOSを視覚的にしっかりと捉えることができる優れた検査です。
4. 頸動脈超音波検査:脳へ続く血管の「動脈硬化」を直接見る
首の両脇を通る「頸動脈(けいどうみゃく)」は、全身の血管の中で最も動脈硬化の様子を観察しやすい場所です。
超音波を使って、首の血管の内側の厚み(IMT:内膜中膜複合体厚)や、コブのような脂質の塊(プラーク)がないかを直接観察します。
- 血管の内壁が厚くなっていないか?
- 血管の中に危険なプラーク(動脈硬化の塊)ができていないか?
首の血管の動脈硬化が進んでいる場合、心臓の冠動脈や脳の血管でも同様に動脈硬化が進んでいる可能性が高く、脳梗塞や心筋梗塞の将来的なリスクを評価する非常に重要な指標となります。
5. CAVI・ABI検査(血管年齢・足の血管の詰まり評価):全身の「血管の硬さと太さ」を測る
両腕と両足の血圧・脈波を同時に測定する、わずか数分程度の簡単な検査です。
CAVI(Cardio-Ankle Vascular Index):血管の硬さ(血管年齢)
血圧の変動に左右されにくい「動脈全体の硬さ」を測定します。数値から「あなたの血管が何歳相当か(血管年齢)」を算出できます。肥満や生活習慣病により血管の弾力性が失われて硬くなっている程度を客観的に把握できます。
ABI(Ankle-Brachial Index):足の血管の詰まり具合
足の血圧と腕の血圧の比率を計算し、「足の動脈に詰まり(閉塞)がないか」を評価します。特に肥満や糖尿病、喫煙習慣がある方は、足の血管が詰まる「閉塞性動脈硬化症(PAD)」を起こしやすいため、この検査で早期発見につなげます。
合併症評価に基づく、冨田医院の「減量治療」
当院では、これらの検査結果を総合的に分析し、患者さんお一人おひとりに合わせた減量プログラムをご提案しています。
| 検査項目 | 当院で評価する主な内容 |
|---|---|
| 血液検査 | 糖代謝、脂質、肝機能、腎機能など代謝異常の全般チェック |
| 尿蛋白・微量アルブミン | 高血圧・糖尿病によるごく初期の腎ダメージの発見 |
| 腹部エコー | 脂肪肝の程度、肝硬変リスクの可視化 |
| 頸動脈エコー | 血管の内壁の厚み・プラーク(動脈硬化)の直接観察 |
| CAVI / ABI | 血管年齢(血管の硬さ)と足の動脈の詰まり度合い |
「血管年齢が実年齢より10歳高かったから、本気で食事を見直そう」
「微量アルブミンが出ているから、まずは血圧管理と適切な減量を進めよう」
このように、自分の体の「現実」を数値や画像でしっかりと把握することが、リバウンドを防ぎ、長続きするモチベーションにつながります。
まとめ
「健康診断の結果が気になっているけれど、どこから手を付ければいいかわからない」
「何度も自己流ダイエットに失敗してきた」
そんな方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
肥満症の治療は、決して意地や我慢だけで行うものではありません。医学的な根拠に基づき、体の中の状態をしっかり評価した上で、無理なく安全に健康を取り戻すサポートをいたします。
当院は八女市黒木町で診療しております。八女市内はもちろん、近隣地域の方もお気軽にご受診・ご相談ください。
冨田医院 医師 岡田一樹