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減量外来は厳しい?当院が「怒らない指導」を実践する理由

こんにちは。冨田医院の医師、岡田一樹です。
「減量外来」と聞くと、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか?
「毎日の食事や体重を厳しくチェックされて怒られそう……」「体重が増えていたら先生にガツンと指導されるんじゃないか……」そんな風に、少し身構えてしまう方も多いかもしれません。
しかし、当院の減量外来では、患者さんに対して厳しい指導や、お説教のようなことは一切いたしません。
これには、私の個人的な方針というだけでなく、人間の行動パターンを科学的に研究する「行動分析学(こうどうぶんせいがく)」に基づいた、明確な医学的理由があります。
今回は、なぜ当院が「厳しさ」を排除し、「褒めて伸ばす」アプローチを理想としているのか、その理由について詳しくお話しします。
1. 厳しい指導(ダメ出し)がダイエットに隠された副作用とは?
行動分析学の世界には、「嫌子出現による弱化(けんししゅつげんによるじゃっか)」という言葉があります。少し難しい表現ですが、簡単に言うと「嫌なこと(怒られる、責められる)が起きることで、その行動をしなくなること」を指します。
例えば、子供の頃に「宿題をサボって親に激しく怒られた(嫌なことの出現)」から、「サボるのをやめた(行動の弱化)」というようなケースです。一見、効果があるように思えますよね?
しかし、この「厳しさや恐怖、自己嫌悪」によるコントロールには、大きな落とし穴が3つあります。
① 本質的な問題の解決にならない(現実から目を背けるようになる)
厳しい指導を受けると、人間は「体重を減らそう」と努力するのではなく、「怒られる状況をいかに回避するか(逃げるか)」に頭を使うようになります。
先生に「なんでこんなに体重が増えてるの!」と厳しく怒られたとします。すると、患者さんの心は以下のように動いてしまいます。
- 食べすぎてしまった翌朝、現実を見るのが怖くて体重計に乗るのをやめてしまう
- 「どうせ増えているから怒られる」と思い、体重測定そのものを避けるようになる
これでは、太る行動そのものが消える(消失する)わけではなく、ただ「現状を把握する行動」をやめてしまうだけです。現実から目を背けることになり、結果としてダイエットの効果は全く出なくなってしまいます。
② 「厳しさ」で抑え込んだ悪い習慣は、後から復活する可能性がある
ここが非常に重要なポイントです。恐怖や怒られること(嫌子)によって、一時的に「ドカ食い」や「お菓子の食べすぎ」を抑え込めたとします。
しかし行動分析学では、嫌子によって無理やり弱化させた(抑え込んだ)行動は、一定期間が経つと、まるでバネが跳ね返るように復活してしまう可能性があることが分かっています。
「先生に厳しく言われたことでお菓子を一切断ち切った!」と思っても、しばらくして厳しい環境や緊張の糸が切れた瞬間、気づいたらお菓子を求めてしまう……。皆さんもそんな経験はありませんか?
厳しさによるコントロールは一時的な「メッキ」のようなもので、本質的にその習慣が消え去ったわけではないため、後からリバウンドとして復活してしまうのです。
③ 最悪の場合、治療そのものをやめてしまう(通院の中断)
人間にとって「怒られる場所」「否定される場所」に行くのは、強い苦痛を伴います。体重が増えてしまった時、「次の診察で行ったらまた怒られるな……」と思うと、病院に行くこと自体が嫌になってしまいますよね。
その結果、一番避けなければならない「通院の中断(治療のドロップアウト)」に繋がってしまいます。これこそが、厳しい指導がもっとも意味をなさない最大の理由です。
2. 当院が理想とする「好子出現による強化」とは?
では、どうすれば無理なく健康的に痩せられるのでしょうか?
当院が大切にしているのは、真逆のアプローチである「好子出現による強化(こうししゅつげんによるきょうか)」です。
これは、「良いことや嬉しいこと(褒められる、ご褒美がある)が起きることで、その望ましい行動がどんどん増えて定着していくこと」を言います。
当院の減量外来では、たとえ体重が増えてしまっていても、患者さんが毎日「体重測定」を続けて診察に来てくれたこと、その素晴らしい行動に対して心からの賞賛(しょうさん)を送ります。
- 患者さん:「今週は少し体重が増えちゃいました。でも毎日体重計には乗りました……」
- 医師:「素晴らしいですね!増えてしまった時こそ、しっかり現実と向き合って体重を測定し続けたその行動力、本当に拍手ものです!現状が正確に分かったからこそ、次の一歩を一緒に考えられますよ!」
このように、「病院に行くと医師に努力を賞賛してもらえる」という安心感(好子)があることで、患者さんは前向きに体重測定を続けられるようになります。
さらに、患者さんご自身でも「自分へのご褒美(好子)」を設定することをおすすめしています。例えば、「今週、毎日体重測定ができたら、大好きな趣味の時間を1時間楽しむ」「お気に入りの入浴剤を使ってゆっくりお風呂に入る」といったご褒美を用意するのです。これにより、体重測定という行動がさらに楽しく、しっかりと生活に強化(定着)されていきます。
3. 減量は「一生モノの習慣作り」。だからこそ心地よい空間を
一時的に猛烈な我慢をして体重を落としても、それが苦しいものであれば必ずリバウンドします。減量外来の本当のゴールは、患者さんが「これなら一生続けられる」と思える心地よい生活習慣を、自分のペースで見つけていくことです。
そのためには、病院が「お説教される場所」ではなく、「できたことを喜び合い、うまくいかなかった原因を一緒に優しく紐解く場所」でなければなりません。また、この考え方は患者さんだけでなく、私たち自身にも当てはまります。体重が増えた時に自分を強く責め続けることは、かえって減量の継続を難しくすることがあります。失敗を責めるのではなく、次の行動につなげる視点を持つことが、長期的な成功につながると考えています。
当院は八女市黒木町で診療しておりますので興味ある方はいつでも御相談下さい。
当院の減量外来のホームページは下記から
『冨田医院 減量外来専用ホームページ』
冨田医院 医師 岡田一樹