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運動では痩せない?それでも当院で運動をすすめる理由。

こんにちは。冨田医院の岡田一樹です。
以前のブログでは、「運動だけで消費できるカロリーはそれほど多くない」という事実をお話ししました。
(まだ読まれていない方は、ぜひ運動しても痩せないのはなぜか?をはじめにご一読くださいね。)
「それなら、運動はしなくていいや。食事制限だけで頑張ろう」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、当院の減量外来では、それでも皆様に「無理のない範囲で、できるだけ運動も取り入れてみてください」とお伝えしています。
なぜなら、運動の本質的な価値はカロリーを消費することだけでなく、「痩せやすく、リバウンドしにくい体に整えていくこと」にあるからです。今回は、医学的な視点から、当院が運動をおすすめする本当の理由を分かりやすく解説していきます。
1. 運動はリバウンドを防ぐための大切な鍵
多くのデータから、「食事制限だけでなく運動を組み合わせることで、減量した体重を長期的に維持しやすくなり、リバウンドのリスクが下がる」ことが分かっています。これには、体の中で起こるいくつかの変化が関係しています。
① 脳の「省エネモード(代謝適応)」を抑える
食事を減らすだけのダイエットを行うと、脳はエネルギーが足りないと判断し、生き残るために基礎代謝(何もしなくても消費するエネルギー)を落とそうとします。これが「停滞期」や「リバウンド」の主な原因です。しかし、ここに適度な運動を加えることで、脳の省エネモード化を和らげ、代謝が落ちるのを防ぐことができます。
② 食欲のコントロールを整える
「運動するとお腹が空いて逆効果では?」と思われがちですが、実は適切な運動は脳の満腹中枢を刺激し、食欲を抑えるホルモン(GLP-1など)の分泌を促してくれます。これにより、ストレスなどによる「偽の空腹感」に振り回されにくくなります。
③ 脂肪を溜め込みにくい体質へ(インスリン感受性の向上)
運動によって筋肉を動かすと、細胞が糖分を取り込む効率(インスリン感受性)が良くなります。これにより、食べた糖質が脂肪として蓄積されるのを防ぎ、優先的に筋肉でエネルギーとして消費されやすくなります。つまり、「同じものを食べても太りにくい代謝の仕組み」をサポートしてくれます。
④ ストレスによる過食をメンタルから防ぐ
減量中の挫折の原因になりやすいのが、不安やストレスからついつい食べてしまう「エモーショナル・イーティング(感情的摂食)」です。運動をすると、気持ちを安定させる脳内物質(セロトニンなど)が分泌されるため、ストレスを食に頼らずに発散できる健康的なメンタルが保ちやすくなります。
2. 1つの良い習慣がすべてを変える「スピルオーバー効果」
運動のメリットは、体へのアプローチだけにとどまりません。心理学や行動科学の世界には「スピルオーバー効果(波及効果)」という言葉があります。
これは、「1つの良い習慣を始めると、それがきっかけとなって、他の生活習慣も自然と整っていく」という現象です。
当院の患者様でも、運動を始めたことで以下のような良い変化が連鎖していくケースをよく目にします。
- 「せっかく朝歩いたから、お昼は少しヘルシーなメニューにしてみよう」(食意識の向上)
- 「体を動かして程よく疲れたおかげで、夜ぐっすり眠れた」(睡眠の質の改善)
- 「よく眠れて翌朝の体調が良いから、間食したい気持ちが落ち着いた」(生活リズムの安定)
このように、運動を生活に取り入れることは、無理なく自然にそのほかの生活習慣を整えるきっかけになってくれます。
3. 運動に慣れていない方へおすすめの「スロージョギング」
ここまで読んで「でも、きつい運動は続けられない…」と不安になった方もご安心ください。当院が減量のステップとしておすすめしているのは、息が切れるようなランニングではなく、「スロージョギング」です。
スロージョギングとは、「隣の人と笑顔で会話ができるくらいの、歩くようなのんびりとしたペースで走る」方法です。歩幅を小さくして、足の裏全体で柔らかく着地するのがコツです。
このスロージョギングは、体への負担はウォーキングと同じくらい軽いにもかかわらず(1分間走って、30秒歩くを繰り返す)、消費エネルギーはウォーキングの約1.6〜2倍にもなります。さらに、脂肪を効率よく燃やす筋肉(遅筋)を刺激するため、リバウンドしにくい体づくりにも向いています。
まずは1日10分からでも構いません。「走る」というより「お散歩の延長」のような感覚で、新しい心地よい習慣を試してみませんか?
冨田医院 医師 岡田一樹